楽曲のコメント
「おじいちゃんの恋 ~贈与税物語より」は、高齢者に対する警告の歌である。この歌は、神戸地裁平成27.8.18判決をベースにしたものである。贈与税の「連帯納付義務」(相法34④)を歌ったもので、歌詞は、複雑で、恐ろしい内容である。高齢化社会に、よくある話とも言われ、この歌を聴いて、日本の贈与税の仕組み(問題点)を理解して貰えたらと思う。そして、お金持ちのおじいちゃんは、注意すべきであると警告している。
相続税法34条4項 → 財産を贈与した者は、当該贈与により財産を取得した者の当該財産を取得した
年分の贈与税額に当該財産の価格が当該贈与税の課税価格に算入された財産の価格の内に占める割合を乗じて算出した金額に相当する贈与税について、当該財産の価格に相当する金額を限度として連帯納付の責めに任ずる。
国税通則法5条1項 → 相続があつた場合には、相続人又は民法951条(相続財産法人の成立)の法人は、その被相続人に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税を納める義務を承継する。この場合において、相続人が限定承認をしたときは、その相続人は、相続によつて得た財産の限度においてのみその国税を納付する責めに任ずる。
神戸地裁平成27.8.18判決のポイント
① 連帯納付義務の成立時点 → 贈与の時点
② 承継性を認める判断 → 相続人に連帯義務が移行(国税通則法5条)
③ 合憲性(憲法14条(平等原則)・29条(財産権保障))の判断 → 相続税法34条4項は合憲
④ 徴収権行使の合理性・乱用判断 → 合理的裁量を認める
歌詞
- おじいちゃんは古希になった
だけど髪はふさふさ
背筋を伸ばし颯爽と
街を歩いてる
おじいちゃんは甘い声で
好きな演歌を唄う
若い娘は微笑み輝く
そんなある日おじいちゃんは
天使に恋をする
おじいちゃんの青春がやってきた - おじいちゃんはお金もち
だけど口癖のように
「金は生きてるうちに使え」と
おじいちゃんの幸せの日々
いつも天使と二人
心のゆくままダンスを海辺で
そんなある日おじいちゃんは
天使に2億円のプレゼント
おじいちゃんはそして天国へ - おじいちゃんの天使がいつの間にか消えた
だけど行方を知らない誰も
おじいちゃんの子供達は
天使を知らないけれど
突然の贈与税 降り掛かる
そんなある日子供達は
連帯納付義務者
おじいちゃんは天国で恋をしている - おじいちゃんの子供達には課せられる贈与税
何も知らないけれども
義務がある
おじいちゃんは嬉しそうに
遺影の中で笑ってる
子供はおじいちゃんの相続人
そんなある日子供達は
その義務を引き継ぐの
おじいちゃんの恋の結末
これがおじいちゃんの贈与税物語
資産税の実務研究(税務判断のポイント64)清文社・2016年

税務判断のポイント ~譲渡・相続・贈与・評価 財経詳報社・1996年
