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ふるさとに寄付をしよう

楽曲のコメント

「ふるさとに寄付をしょう」は、地方税の歌である。この「ふるさと納税制度」については、制度上、いくつかの問題が考えられる。教科書的に言えば、地方税は、「応益課税」である(もっとも、東京高裁平成15.1.30判決の銀行税(事業税)訴訟では、東京都の主張する「応益課税」に対して、銀行側は「応能課税」と主張しているが)。すなわち、自治体から受ける行政サービスの対価として、地方税は支払われると説明されている。そうすると、ふるさと納税は、行政サービスを受けている納税者が、当該自治体に税を支払わずに、行政サービスを受けていない自治体に税を納付することになる。すなわち、応益課税に反することになる。更に、税の本質である「非対価性」(特定のサービスに対して、直接的な対価関係にないこと)を考えた場合、返礼品は、寄附金の対価となっている。その意味で、ふるさと納税は、対価性を有し、税の本質と異なるものである。しかし、この歌は、そんなことお構いなく、「ふるさとに寄付をしょう」と高音の甘い声で歌っている。因みに、女子学生からは、賞賛されている。そして、「私」の16曲の中で、初めて「セリフ」が入った歌である。「セリフ」は、以下のとおりである。

  「セリフ」

  地方自治体のみなさま
  毎度、ふるさと納税にご協力ありがとうございます。
  総務大臣からの連絡でございます。
  寄附金募集の適正化のため返礼品は「地場産品」
  そして返礼割合は「3割以下」に
  以上のこと
  くれぐれも くれぐれも
  よろしくお願いいたします。

歌詞

  1. あおい空 流れる雲
    僕の生まれた ふるさとは
    山に囲まれた 小さな村里
    木造の古い校舎は 北風に耐え
    ああ~  懐かしい ふるさとよ
    返礼品は フルーツトマト
    ふるさとに 寄付をしよう
  2. 夏の終わりの 蝉の嗚き声
    僕の育った ふるさとは
    燃える日射しに映る 緑の茶山に
    水車小屋の 軋む響きよ
    ああ~  胸が熱い ふるさとよ
    返礼品は 香る玉露
    ふるさとに 寄付をしよう
  3. 山から流れる 雪解けの水
    僕の懐かしい ふるさとは
    北の大地に 牛たちの群れ
    若者が消えた 寂しい村
    ああ~ いつか帰る ふるさとよ
    返礼品は サーロインステーキ
    ふるさとに 寄付をしよう
  4. 沈む夕日に 背を向けて
    母と歩いた あぜ道
    真っ赤に染まる 稲穂の海
    今も聞こえる おふくろの歌
    ああ~ わが心のふるさとよ
    返礼品は コシヒカリ
    ふるさとに 寄付をしよう

(総務省)ふるさと納税の控除額(目安のシミュレーション)

 000408218.xlsx

(税金のポイント)ふるさと納税の返戻品と一時所得

 ふるさと納税で、返戻品をもらった場合、その価値については、一時所得になります。例えば、200万円の価値の返礼品を受けた場合、「(200万円-50万円)÷2=75万円」と計算し、75万円が一時所得として、課税の対象になります。なお、一時所得の算出は、次のようになります。

 (総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(50万円))÷2=課税所得金額

一時所得には、懸賞の償金、競馬の払戻金、生命保険の満期返戻金などがありますから、その年に50万円を超える満期返戻金等(例えば200万円)があると、返礼品の価値が20万円でも、課税の対象になります。
 すなわち、つぎのように、一時所得が計算されます。

  (200万円+20万円-50万円)÷2=85万円

 ところで、この返礼品の価値については、「自治体が調達のために支出した金額」といわれていますが、地方税法37条の2第2項1号で、「・・・返礼品等の調達に要する費用の額・・・寄附金の額の100分の30に相当する金額以下」と定めていることから、返礼品の価値が分からなければ、寄附金の額の30%を乗じた金額で申告をしても良いでしょう。

 (注)限界税率の計算は、所得税の(最も高い)累進税率に住民税の10%の率を加えたものです。

 「ふるさと納税制度」(第21話)の記事

「ふるさと納税返礼品と一時所得」(第95話)の記事

 「泉佐野市ふるさと納税訴訟」(第35話)の記事

 「ふるさと納税」の問題

「ふるさと納税返礼の農産物、新たに6市町村で産地が混在した疑い」(朝日新聞・2025.4.24・一部抜粋」

「ふるさと納税の返礼品は原則として地元産と定められ、自治体には取扱事業者への実地調査などを通じた産地の適正表示が求められている。流通経路のなかで混在が避けられない場合は、そのように国に申請する必要がある。県は「制度の認識不足やケアレスミス」とみている。 コメや納豆などについて誤った申請をしていた長野市。多くはそれまで正しい申請をしていたが、2023年度のリスト更新作業時に市側で入力を誤ったという。 担当者は「事務手続きの不備で、チェックも不十分だった」と話した。上田市は「大半が市産のため、市産品としてよいと職員が誤認した」。小諸市も「市内から発送していたことなどから、職員が誤認して申請した」と説明している。 一方、須坂市では、返礼品のシャインマスカットに県外産を用いた「偽装」が19年から24年にかけておこなわれ、市がこの間、一度も実地調査をしなかったことがわかっている。また昨年12月に問題を把握しながら実地調査を今年3月末までしなかったことも問題視された。国は現在、須坂市をふるさと納税制度の対象から除くかどうかを検討している。」

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